Amazonなどの口コミを見て、モグニャンを与えると尿路結石になってしまうんじゃないか?と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
僕も、そうしたモグニャンの口コミを見てから、現在モグニャンを与えている愛猫(1歳メス)が尿路結石になってしまわないか心配で販売元のペット栄養管理士に相談をした飼い主の1人です。
結論から言うと、モグニャンは尿路結石の原因となるほど過剰な成分配合がされているということはなく、健康状態の良好な猫ちゃんに与える分にはまったく問題ありません。
ただし、同時にモグニャンは尿路疾患に対応した療法食でもないため、尿路結石への予防効果や治療効果を期待できるものでもないんです。
むしろ、モグニャン利用者のなかには「与え始めてから尿のph値がアルカリ性に傾いた」という声が少なからず上がっています。
これはどういうことなのか、こちらで詳しくご説明していきます。
目次
尿路結石とは?モグニャンは危険というウワサは本当?
尿路結石とは、猫下部尿路疾患(FLUTD)のなかの症状の1つであり、尿の中に結晶や結石が形成され、それが尿道に詰まって尿を排出できなくなったり、膀胱を傷つけて炎症を引き起こす病気です。
愛猫が尿路結石になると、頻繁にトイレに行くようになったり、おしっこが少しずつしか出なくなったり、排尿時に鳴く、血尿になるなどの症状が現れます。
尿路結石が形成される基本的なメカニズムは以下のとおりです。
猫がなりやすい「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」
- ストルバイト結石:尿がアルカリ性になると発症しやすい。1〜6歳の成猫期によく見られる結石。
- シュウ酸カルシウム結石:尿が酸性になると発症しやすい。7〜11歳の老齢期によく見られる結石。
猫の尿路結石は主に、尿がアルカリ性に傾くことで尿石が形成される「ストルバイト結石」と、酸性に傾くことで尿石が形成される「シュウ酸カルシウム結石」の2種類があります。
一般的に、猫の摂取するマグネシウム量が増えると尿はアルカリ性に傾き、マグネシウム量が減ると酸性に傾くと言われています。
尿が過剰にアルカリ性に傾くと、飲み水や食事中から得たマグネシウムやカルシウム、リンといったミネラル成分が尿の中で溶けにくくなって、ストルバイト結石を形成します。
一方、尿が酸性に傾きすぎても、尿中のシュウ酸がカルシウムと結合することで「シュウ酸カルシウム結石」を形成します。
ただし、水分摂取量を増やして尿の濃度を薄めてあげると、尿中の結晶が溶けやすくなることに加えて、形成されかけた結晶もしっかり流してくれるんです。
猫の尿路結石は「尿の濃度」がカギになるってことですね!
モグニャンはミネラル成分(カルシウム・リン・マグネシウム)が過剰?人気メーカーと比較してみる
モグニャンを与えると、尿のph値(アルカリ性か酸性かを表す数値)がアルカリ性に傾くといった口コミがあります。
うちに来て13日目(生後2ヶ月)ペットショップからの餌を引き継いでいたけど成分色々と考えた結果モグニャンに決定♪
10日間くらいで切り替えを!と、思ったけど、尿pH↑等のこともあり、アカナへ変更!!
ph値は猫の摂取するマグネシウム量によって変動すると言われていますが、はたしてモグニャンに含まれるマグネシウム量は過剰なのでしょうか?
下記は、モグニャンと愛猫家に人気のあるキャットフードメーカー4社とのミネラル成分含有率を比較したものです。
製品名 | ミネラル成分含有量(%) |
モグニャン (全ライフステージ対応) |
カルシウム0.62%/リン0.53%/マグネシウム0.12% |
ニュートロ (室内猫用アダルトチキン) |
カルシウム0.9% /リン0.8%/マグネシウム0.15% |
ヒルズ サイエンスダイエット (インドアキャット成猫用) |
カルシウム0.5%/リン0.45%/マグネシウム0.075% |
ネスレ ピュリナワン (インドアキャット1~10歳ターキー&チキン) |
カルシウム1.0%/リン0.9%/マグネシウム0.09% |
ロイヤルカナン (FHNインドア猫用) |
カルシウム0.9%/リン0.76%/マグネシウム0.09% |
上記を見る限り、たしかにモグニャンはマグネシウムの値が他のフードと比べてやや大きめに見えますが、療法食を販売しているロイヤルカナンやピュリナワンとの差はいたって僅差といえます。
また、カルシウムやリンなどのミネラル成分に関しては、他のフードの方がむしろ高い数値を示しています。
猫の尿のph値がモグニャンのマグネシウム成分によってアルカリ性に傾いたとしても、その後に尿路結石を発症する確率は他のフードと比べてもあまり大差はないと言えるのではないでしょうか。
尿ph値上昇の口コミがある限りは、尿路疾患の兆候が見られる猫は慎重になっておくべき
ここまで紹介したとおり、モグニャンのマグネシウム成分量は決して過剰というわけではなく、正常範囲の枠を出ないことが分かりました。
また、日本のペットフードメーカーが製造の指針としているAAFCO(アメリカ飼料検査官協会)の給餌基準においても、実質ミネラル摂取量に関しては上限を定められていません。
1つ確かに言えるのは、ミネラル成分に関わらず、猫の健康状態によって摂取するべき成分の適正値は異なるということ。
そのため、モグニャンを与えると尿のph値が上がった(アルカリ性に傾いた)という声がある以上は、飼い主として慎重になっておくに越したことはないでしょう。
以前に1度ストルバイト結石を患ったことがある猫や、その兆候が見られる猫にモグニャンを与えるは控えた方がベターです。
また、現在健康状態が良好な猫ちゃんでも、次に紹介する特徴に当てはまる点がある場合は、それぞれの問題に対して適切な対策を取りながらモグニャンを与えていくことをオススメします。
こんな猫は注意しよう!尿路結石になりやすい猫の4つの特徴&適切な対策
食事中や飲み水から摂取するマグネシウムの過剰摂取は猫ちゃんにとって尿路結石の1つの原因となります。
しかし、尿路結石はマグネシウムのみによって引き起こされる病気ではなく、次に紹介するような様々な要因が重なって発症します。
以下の特徴に当てはまる猫ちゃんは、適切な対策を取りながらモグニャンを与えてあげてくださいね。
特徴1.普段から水分摂取量が少なめ
普段あまり水を飲まない猫ちゃんは、必然的におしっこの量が減り、尿が濃くなります。
そうなると、尿中のミネラル成分が溶けにくくなり、尿路結石になる可能性を高めてしまいます。
一般的に、猫が1日に必要とする水分量は次のとおりとされています。
★猫が1日に必要な水分量 | 量(ml) |
生後4週 (体重400g前後) |
110ml |
生後8週 (体重800g前後) |
170ml |
生後1年以降 (体重4kg前後) |
214ml |
※200ml=1カップ分
猫は人目が多い場所やうるさい場所を好みません。猫が落ち着けるストレスフリーな環境で、常に新鮮な水を与えてあげましょう。
その実験では、30匹の猫に対して4種類の容器で水を与えられ、1番人気だった容器は中央から噴水のように水が湧き出る循環型の給水機だったそう。
容器の形も、愛猫のお気に入りを見つけられるといいですね!
必要とされる対策
- 工夫をして摂取する水分量を増やそう
猫の水分摂取量を増やすと、尿中のミネラル成分が溶けやすくなることで、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム両方の対策になります。普段あまり水を飲んでくれない猫ちゃんに対しては、食事にウェットフードを取り入れてあげると効果的です。ウェットフードのほとんどは水分量が80%を越えるため、有効な水分摂取となります。ちなみに、僕は1日1本与えている「チャオチュール(約90%が水分)」にスプーン2杯の水を加え、溶かして愛猫に与えています。
- マグネシウム含有量の少ない水を与えよう
猫ちゃんへ水道水を与えるのは心配な方もいるかもしれませんが、ミネラルウォーターにしている人は注意が必要です。硬水で知られる「エビアン」や「コントレックス」などはマグネシウム含有量が極めて高いため、猫へ与えるのは危険です。衛生管理の行き届いた日本でなら、ほとんどの猫は水道水で問題ありません。しかし、どうしても心配な方は猫用ミネラルウォーターを与えてもいいでしょう。
特徴2.塩分を多く含むおやつを頻繁に与えている
塩分を多く含んだおやつを頻繁に与えてる猫ちゃんも、尿路結石になりやすい傾向があります。
猫は余分に摂取したナトリウムを尿に捨てることができますが、とあるペットフード販売士によると、猫がナトリウムを排出する際には同時にカルシウムも一緒に捨てられるようです。
これにより、尿中のカルシウム量が増えて尿路結石の可能性を高めるため、過剰な塩分摂取は控えるべきと言われているんです。
必要とされる対策
- 不要なおやつを与えるのは我慢しよう
猫が寄ってくるとついついおやつを与えたくなる気持ちはとてもよく分かります。しかし、過剰な塩分摂取は尿路結石の原因になるので、可愛くてもグッとこらえましょう。安い猫缶や、釜揚げしらすなどには多くの塩分が含まれているため与えない方がベター。また、じゃこや煮干しなどには結石の材料になるカルシウムやマグネシウムが多く含まれているので、これらの食べ物にも注意しておく必要があります。
特徴3.ストレスを溜めがち/緊張・興奮状態が継続している
ストレスは万病の元と言われますが、これは尿路結石でも同じです。
尿路結石と関わりの深い尿路疾患の1つである『膀胱炎』は尿路結石と同じく猫のかかりやすい病気ですが、その原因の74%はストレスにあると言われています。
猫はストレスを感じやすい動物であり、来客や他のペットとの対面など、普段と違った環境が頻繁に訪れると緊張状態が続きます。
こうしたストレスによって、トイレの頻度が減ったり水を摂らなくなると、尿の濃度が高まって尿路結石の可能性を高めます。
必要とされる対策
- 愛猫が落ち着ける環境を作ってあげよう
来客などは人の都合で仕方がないことが多くあります。そのため、猫が避難できる場所や、休んだり隠れたりできる場所を確保してあげるのが大切です。また、落ち着ける場所にトイレや水、食事などを設置してあげて、ストレスフリーな環境で好きな行動を自由に取れるように配慮してあげるといいでしょう。
- トイレはいつも清潔に
猫はキレイ好きです。トイレが汚れていたり気に入らないニオイが付いていると、排泄時にストレスを感じたり、トイレを我慢するようになることがあります。そのため、トイレは常に清潔を保ってあげましょう。また、成長するにつれてトイレが小さくなってくることで排泄を我慢する場合もあるので、適切な大きさのトイレを用意するように注意してあげるといいでしょう。
特徴4.肥満や運動不足の兆候が見られる
尿路結石は1年のなかでも、寒さで運動量の低下する冬にかかりやすい病気と言われています。
特に肥満ぎみの猫ちゃんや去勢手術後の猫ちゃんは運動量が少なくなる傾向にあり、運動しないことで水分摂取量が減り、トイレの頻度も減少します。
これらはどれも尿路結石の大きな原因の1つとなるため、適切な対策が必要です。
必要とされる対策
- 運動量を増やしてあげよう
遊びの時間を増やしたり、キャットタワーを設けたりして猫の運動量を増やしてあげるといいでしょう。適度な運動は猫の補食欲求を満たし、ストレス発散に繋がるだけでなく、尿のphを酸性化する効果もあると言われています。愛猫が元気かどうかも確かめられるので、遊びの時間は毎日しっかりと確保してあげたいところですね。
おまけ:モグニャンと尿路結石に関する販売元の回答は?
僕が愛猫にモグニャンを与える際、尿路結石が心配になってモグニャンの販売元『株式会社レティシアン』のペット栄養管理士へ問い合わせたときの質問と回答を共有します。
モグニャンを愛猫に与えようかお悩み中の飼い主さんの参考になれば幸いです。
質問➀ モグニャンが尿路結石の可能性を高めているというのは本当ですか?
質問② 尿路結石になったという購入者はどれくらいいますか?
質問③ 尿のph値が変化しやすいといわれる子猫に与えても大丈夫ですか?
モグニャンを与えるなら適切な対策と配慮を忘れずに
モグニャンで猫の尿ph値が上昇したという声はありますが、モグニャンのマグネシウム量は他のフードと比べて過剰というわけではありません。
ただし、尿路結石になったことのある猫や、その兆候が見られる猫については、モグニャンは不向きであることをお伝えしました。
モグニャンは健康状態が良好な猫ちゃんへ与える分にはまったく問題ありませんが、こちらで紹介した「尿路結石になりやすい特徴」に当てはまる猫ちゃんは、適切な対策と配慮を忘れないようにしたいところです。
10日間くらいで切り替えを!と思ったけど...
女性(Instagram)